サッカーが上手くなるためには、何を練習すればいいのでしょうか。
ドリブル、パス、シュート、トラップ。
もちろん、ボールを扱う技術は大切です。
しかし最近のスクールでは、それと同じくらい大切にしていることがあります。それが、
「今までと違う動きを覚えること」です。
■ 人は「できる動き」の中からプレーを選んでいる
人間は無意識のうちに、自分が慣れている身体の使い方を選びます。走り方、止まり方、ターンの方向、足の運び方、身体のひねり方……。例えば、身体を右方向にはスムーズにひねれるけれど、左方向には動かしにくい選手がいたとします。
その選手に「もっと周りを見て判断しよう」と伝えても、身体そのものが左方向へ動きにくければ、実際のプレーでは右側の選択肢を選びやすくなります。
つまり、頭の中では選択肢があっても、身体に選択肢がなければ実行できないことがあります。ここが非常に重要です。
■ 新しい動きは「身体の引き出し」を増やす
そこでスクールでは、普段とは違う動きにもチャレンジします。左右で異なる動きをする。
慣れていないステップを踏む。
身体を大きくひねる。
股関節や肩甲骨をさまざまな方向へ動かす。
最初は当然、ぎこちない。「できない!」となることもあります。
でも、それでいいのです。
今まで経験したことのない動きに脳と身体が出会っている証拠だからです。何度も試行錯誤するうちに、「こんな身体の使い方もできるんだ」という新しい感覚が生まれてきます。
それが少しずつ身体の引き出しになっていきます。
■ 可動域とは「柔らかさ」だけではない
「可動域を広げる」というと、ストレッチをして身体を柔らかくするイメージがあるかもしれません。しかし、私たちが考える可動域はもう少し広い意味を持っています。
ただ関節が大きく動くだけではなく、その範囲を自分の意思でコントロールし、実際のプレーで使えること。ここまで含めて大切にしています。
身体をひねりながらボールを受けられる。
バランスを崩した状態から次の一歩を出せる。
いつもとは違う足の運び方で相手の逆を取れる。
届かなかったボールに足を伸ばせる。
身体の自由度が上がれば、それまで「できない」と思っていたプレーが可能になるかもしれません。

■ 「認知・判断」の前に、身体の選択肢を増やす
サッカーではよく、「認知→判断→実行」が大切だと言われます。
でも、どれだけ良い判断ができても、最後に身体がそれを表現できなければプレーにはなりません。
逆に、身体にたくさんの動きが備わっていれば、
「こんな抜き方もできる」
「この体勢からでもパスを出せる」
「こっちにターンすることもできる」
と、判断そのものの幅まで広がっていきます。
だから、身体操作のトレーニングとサッカーの判断は、別々のものではないと考えています。
■ 「できる」を増やすために、「動ける」を増やす
育成年代は、完成された動きを作る時期ではなく、たくさんの可能性を身体の中に蓄えていく時期でもあります。
ひとつの「正しいフォーム」に身体を当てはめるだけではなく、走る、跳ぶ、ひねる、止まる、回る、バランスを崩す、そして立て直す。
さまざまな動きを経験してほしい。
「動ける」が増える。
すると、「できる」が増える。
「できる」が増えれば、選べるプレーが増える。
そして選べるプレーが増えれば、選手としての可能性も広がっていきます。今できることを上手くすることも大切。でも、それと同時に、
「昨日までできなかった動きを、今日できるようにする」
そんな成長も、育成年代では大切にしていきたいと思います。身体の可能性を広げることは、サッカーの可能性を広げること。
Y.S.S.県西校サッカースクールでは、子どもたちを一つの型にはめるのではなく、将来どんなプレーにも対応できる「動きの引き出し」を増やしていきたいと考えています。